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第168回 リベンジポルノ防止法の成立

H26.12.9 福元 隆久
  • 「リベンジポルノ」とは、嫌がらせ目的で元交際相手の性的な写真や動画をインターネット上で公開する行為を言い、近年、深刻な社会問題となっています。この度、2014年11月19日に参議院本会議でリベンジポルノに罰則を設ける「私事性的画像記録の提供被害防止法」(以下「リベンジポルノ防止法」といいます)が可決・成立しましたので、ご紹介したいと思います。

  • インターネットは全世界に公開されている媒体であり、いったんインターネット上で公開された写真や画像を全て削除することが困難であること、他方で、携帯電話やスマートフォンの普及により誰でもどこでも容易に写真や動画が撮ることができ、かつ、インターネット上で公開することも容易であるという社会的背景もあり、近年、リベンジポルノが深刻な社会的問題となっています。リベンジポルノに対しては、わいせつ物頒布罪、名誉棄損罪、児童ポルノ禁止法等で対処することも可能と言われてきましたが、全てのリベンジポルノに対して対処可能かという問題もあり、この度、直接、リベンジポルノを処罰することを目的として制定されたのが、リベンジポルノ防止法です。

  • リベンジポルノ防止法が処罰の対象としているのは「私事性的画像記録」「私事性的画像記録物」を「提供する等」の行為です。

    (1)  「私事性的画像記録」「私事性的画像記録物」とは、まず、「私事」ですから、アダルトビデオやグラビア写真等本人が第三者に見られることを認識した上で撮影を許可した画像は除外されています。そして、「性的画像」とは[1]性交または性交類似行為にかかる人の姿態、[2]他人が人の性器等(性器、肛門または乳首)を触る行為または人が他人の性器等に触る行為にかかる人の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するもの、[3]衣服の全部または一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部または胸部)が露出されまたは強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するものの、いずれかが撮影された画像をいい、非常に広く捉えられています。さらに、「記録」とはこのような画像が撮影された電子情報を、「記録物」このような画像が撮影された有体物をいいます。

    (2)  そして、行為対象である「提供する等の行為」とは、[1]第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、私事性的画像記録または私事性的画像記録物を不特定もしくは多数の者に提供し、または公然と陳列する行為、[2][1]の行為をさせる目的で私事性的画像記録または私事性的画像記録物を提供する行為をいいます。このように、自らインターネットに公開するだけでなく、インターネットに公開させる目的で特定の者に画像を提供する行為も含まれます。

    (3)  罰則は、[1]の行為は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、[2]の行為は1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。そして、[1]および[2]ともに告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪とされています。また、刑法第3条が適用され[1]および[2]ともに日本国民が日本国外で行っても処罰されることになります。

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